2021年2月20日に公開の映画「痛くない死に方」を今すぐ視聴できる動画配信サービス（VOD）を徹底紹介。この記事では「痛くない死に方」のあらすじやキャスト・声優、スタッフ、主題歌の情報はもちろん、実際に見た人の感想やレビューもまとめています。
痛くない死に方が視聴できる動画配信サービス
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痛くない死に方のあらすじ
在宅医療に従事する河田仁（柄本佑）は、日常の多忙と家庭の危機に追われていた。そんな彼の前に現れたのは、末期の肺がん患者・井上敏夫（下元史朗）である。敏夫の娘・智美（坂井真紀）は、痛みを伴いながらも延命治療を続ける病院志向ではなく、痛みの少ない在宅医療を選択したと語る。しかし河田は電話対応に留まり、敏夫は苦痛のまま息を引き取ってしまう。痛くない在宅医を選んだはずなのに、結局は痛い在宅医になってしまったのか——智美は河田の前で自分を責める。長野浩平（奥田瑛二）という在宅医の先輩に相談すると、病院のカルテだけで判断せず、本人を見て判断すべきだったと厳しく指摘される。肺がんという診断ミスが招いた結末に、河田は深い後悔に沈む。長野のもとで在宅医療の現場を学び直し、在宅医としての本来の姿を探る道を選ぶ。病院の専門医と在宅医の決定的な違いを、長野から学ぶ日々が始まる。二年後、河田は再び末期の肺がん患者・本多彰（宇崎竜童）を担当する。今回の向き合い方はこれまでとはまるで違い、本多はジョークと川柳を愛し、末期がんとは思えない明るさを見せる。そんな本多と、いつも明るい妻・しぐれ（大谷直子）と共に、果たして「痛くない死」の実現は可能なのかを模索する。
痛くない死に方の詳細情報
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痛くない死に方の公式PVや予告編動画
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感想・レビュー
点滴で溺れ死ぬより、枯れて死ぬ。
本作は、終末期医療の現場で起きるさまざまな問題をエンタテインメントとして描いた秀作だ。在宅医療と延命治療の是非、病院と家族の関係、そして患者の尊厳をめぐる現実を、緊張感とユーモアのバランスで浮かび上がらせる。
主人公の河田は開業医への道を在宅医療で開こうとするが、多忙さゆえに私生活は崩れ、妻は去り、仕事も事務的になってしまう。そんなとき、苦痛緩和の誤処置が原因で担当患者が激しい苦痛の末に死を迎え、遺族から強く責められる。先輩医師・長野の助言を受け、自分の処置ミスに気づいた河田は、病院のカルテだけを鵜呑みにしていた自分を反省する。遺族に対して自ら非を認めて謝罪する普通なら裁判のリスクが高いこの行為を、彼は覚悟を決めて実行する。遺族は訴えなかった。
時は二年が経過し、河田は長野の下で終末期医療に携わる。その現在の担当は大工の棟梁・本多。末期がんでありながら、昔気質の職人らしく常に明るく周囲を和ませる人懐っこさが魅力だ。川柳を趣味とする本多のユーモラスな一節は周囲を和ませ、時折消えかける死への恐怖を彼は消しゴムで消してしまう。
川柳を楽しむ日、縁側で花火を眺める晩酌、そしてたばことともに過ごす穏やかな日々。終末期の悲壮感は薄らぎ、死を迎えるまでの穏やかな日々が静かに流れていく。しかしやがて本多も死の壁と呼ぶべき試練に直面する。終末期医療にとっての最大の壁を越えた先には、安らかな死が待っているはずだ。
苦しむ患者を救うために救急車を呼ぶ家族の選択は、しばしば大病院の延命治療へと繋がり、そこには本人の意思が無視される生かされるだけの現実が待っている想像するだけで恐ろしい現実だ。死の壁を越え、安らかに死を迎えた本多。大病院は臓器の断片を診るにとどまるが、河田は患者の物語、人生そのものに寄り添う。
師である長野の教えを胸に、河田はかつて遺族を訴えなかった期待に応える。こんな辛い死を二度と生まないでほしい遺族の切実な願いが、彼の胸に確かに伝わってくる。
この作品は在宅による終末期医療を描く前後編の二部構成。前編は終末期医療のつらさを強く突きつけ、演技力豊かな俳優陣とリアルな介護描写が観る者を深く疲れさせる。後編では主人公の成長とともにユーモアと希望が再び顔を出し、前半とは異なる救いのある展開へと転じる。傑作『おくりびと』を思わせる余韻は、終末期医療という重いテーマをエンタメへと昇華させた高橋監督の手腕によるものだ。
関連作の『けったいな町医者』も、ぜひとも観ておきたい。
心に響く作品でした。
在宅診療とは、こういうものです。
病気と向き合うのは病院で、そこでその人と向き合うのが在宅医療です。
『安楽死特区』の情報を見て、タイトルに引かれて鑑賞しました。在宅診療をテーマにした終末期の物語で、描写がとても素晴らしかったです。身内が最後を迎える瞬間を思い出させられました。何が正しいか分からない世界を描いており、本人の意志を尊重する尊厳死の宣言書（リビング・ウィル）についても知りました。素直に「良い映画だな」と感じました。来年の安楽死特区も楽しみにしています。高橋伴明監督の作品、非常に興味深いです。
穏やかな波の火曜日。海から戻ってのんびり鑑賞。ウトウトしながらも、宇崎竜童の渋さが心に染みた。いろいろ考え込んでしまう日々だ。最近はぼちぼち死のことも意識するようになってきた。
過去の自分への思いを巡らせるきっかけとなった、今後の生き方を考えさせられる素晴らしい映画。
治療が最優先とは限らない医療提供体制は、今後多死社会を迎える日本において一般的になるでしょう。生物学的な生命だけでなく、その人の人生全体を見る視点は、在宅医よりもむしろ介護士や家族がより意識すべきではないかと考えさせられます。
病院に対する否定的なイメージが拭い去れない。「救急車を呼ばないように頑張ってね」という言葉は、医療従事者としては違和感がある。しかし、「何もしない方が本人の望むことであれば、救急車は呼ばずに家庭で最期を迎えるべき」という考えには賛同する。入院してしまうと治療を受ける選択肢がほとんどなくなり、その結果、本人の意思とは異なる形で最期を迎えることになり得る。痰の吸引一つにしても、病院側としては行わなければ窒息の危険があるため実施するが、それが果たして「苦痛の緩和」になっているかは微妙だ。何もしないという選択が本当に在宅で可能なのかもしれないが、終末期の患者を家族だけで看取るのは精神的にも体力的にも負担が大きい。特に、コミュニケーションが難しい方も多いし、介護保険の支給もすぐには行かないことがある。面会制限がなく、好きなことやものに囲まれて穏やかに死を迎えたいと思う一方で、痛みや苦しみのない死とは一体どういうものなのか、様々なことを考えてしまう。
医療現場にいるため、最初は戸惑いがありましたが、流れが理解できてきました。坂井真紀のパートは特に辛かったですし、お父さん役も本当に素晴らしかったです。退院前カンファレンスがもっとあれば良かったなと感じました。途中で母の最期の面会を思い出し、少し息苦しくなりましたが、病院だけが全てではなく、在宅がすべてではないこと、そして患者の希望に沿うことが何より重要だと再確認できました。
2021年公開の作品を地元映画館での高橋伴明監督特集で鑑賞した。この映画は、在宅医を主人公に、自宅で過ごす在宅医療を選んだ末期がん患者とその家族の日常を描いている。2ヶ月ほど前にポレポレ東中野で観たドキュメンタリー「ハッピーエンド」も同様に終末期の在宅緩和ケアがテーマだったが、日本では理想的な死を迎えられるのはわずか5%だという。住み慣れた自宅で、家族に見守られ、信頼できる在宅医のサポートを受けながら苦しまずに自分らしく人生を終えることは、実際には非常に難しい。本作でも、在宅医の質によって患者とその家族の最期の日々が大きく異なる。つまり、良い在宅医とスタッフに巡り合えるかどうかが鍵となる。しかし、支える家族の存在なしには在宅医療はほぼ不可能だろう。逆に、その負担を家族に押し付けることはできないと感じた。そのため、最終的には病院で過ごすことになるのが現実であり、日本で理想的な死を迎えることができるのはやはり5%なのだと実感する。「ハッピーエンド」のレビューにも記載したが、日本も安楽死の法整備に取り組んでほしい。安楽死が合法化されれば、現在の日本社会における老後にも希望が持てるかもしれない。なお、今からできる準備として、リビングウィルを整えておく重要性を再認識した。
人それぞれの生き方があるように、死に方もまた一人一人異なる。終末期医療や在宅医療は、その希望を実現するための方法を模索しなければならない。
私は川柳もどきが大好きだった。