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異人たちとの夏の感想＆レビュー

1. みにまむ

   2025年11月2日

   80年代独特の大袈裟な演技が懐かしく感じられた。違和感のあった登場人物が、物語を意外な方向へと進める展開にも納得した。イメージと違う映画に驚いたけれど、もしかするとその方向性だったのかという予感もあり、楽しく観ることができた。

2. 茶漬彦

   2025年11月1日

   この時代は、仕事の忙しさからくる虚無感が漂っていたのだろうと、2つのホラー感が感じられる。（村上春樹やYMOとなんとなくテーマが似ていて興味深かった）謎の女性が少し煩わしく感じられるほど、みんなで普通に食事ができる幸せな家族の姿が印象的だった。鶴太郎が素晴らしい。

3. ホロホロ

   2025年10月28日

   とても興味深かった。誰しもがいつかは童心に戻りたいと思う瞬間があるだろう。それが実現したとしたらどうなるのか。壮年のシナリオライター・原田は、妻子と別れ、一人でマンションに暮らしている。ある日、幼少期を過ごした浅草で、12歳の時に交通事故で亡くなった両親と再会する。原田は早くに別れた両親のことが懐かしく、少年時代のように彼らの元を訪れるようになる。さらに、同じマンションに住む桂という女性と出会い、彼女に不思議な魅力を感じながら愛を育んでいく。しかし、2つの出会いの影響で、原田の身体は次第に衰弱していくー（ウィキからの引用）。亡き人を故人や幽霊と呼ばず、異人として表現するのが適切だ。あの世とこの世は密接に繋がっている。なぜ、どのような仕組みで父と再会したのかは明らかにされていないが、その言葉だけで何となく理解できる気がする。私の父は全く鶴太郎には似ていないし、あそこまで江戸っ子ではない、むしろ関西人なのに、なぜあんなに父親としての存在感を発揮できるのか。また、秋吉久美子がどうしてあれほど理想的な母親像を体現できるのか不思議だ。子どもは大人を望み、大人は子どもを求める。しかし、時間は一方向に進むため、今を大切に生きることの重要性を教えてくれる名作だ。

4. 伊達男

   2025年10月20日

   優しい記憶と鎮魂

   この作品は本当に素晴らしいです。
   ひと夏の「異人」たちとの出会いが、静かにノスタルジックに流れていきます。死者と生者の境界をわざとあいまいにすることで、「家族」という形を再考させてくれる独特の作風です。
   ホラーではなく、どこか温かさを感じます。

   両親との再会シーンでは、オレンジの優しい光の中で、まるでほこりまで感じる質感があり、心地よく、暖かな記憶を思い起こさせる映像や台詞に、つい感動してしまいました。

   終盤では、私も父を亡くしているので、もう一度だけ再会して会話したいという思いを抱きながら観ていました。

   「生と死」「家族との記憶」
   もう会えない誰かをふと思い出させるような、そんな優しい作品でした。

5. かず

   2025年10月14日

   2010年以前の日本ホラー作品を集中的に視聴している中での今回の一本は、1988年公開の『異人たちとの夏』。原作は山田太一による同名小説で、脚本は市川森一、監督は大林宣彦という布陣。U-NEXTの紹介でホラー要素があると知り、視聴を決めた。作品が始まると、大林作品の代名詞ともいえる「A MOVIE」のテロップはなく、原作・脚本の雰囲気を尊重した作りになっている印象だ。物語の主人公は、離婚して独り暮らしを始めた中年の脚本家。仕事の忙しさと重なる悩みごとが心を荒ませ、そんな彼のもとに、ひと夏の不思議な出来事が次々と降りかかる。人は誰しも、様々な経験を通じて成長したり、失うものを抱えたりする。その過程でふと立ち止まったとき、何かが欠けていることに気づく瞬間があるかもしれないこの作品では、それが死んだはずの両親と、若くて魅力的な美女という形で現れる。主人公は両親の元へ通い、美女と甘いひとときを過ごすことで、疲れ果てた心を徐々に取り戻していく。40代を過ぎた独身男性にとっては、まさに願いが叶うかのような展開だ。大林監督の演出によって、そんなお伽噺の味わいが巧みに表現されている一方で、個人的には中年男性の願望を過剰に拾い上げたようにも感じられる場面がある。主人公と謎の美女が過ごす時間には、そんな印象が強く残る。もっとも、この感想は私の内なる葛藤やリアルな中年という立場に起因するのかもしれない。ところが、まさにそんな夢のような日々の代償として、主人公の表情は日を追うごとに悪化し、やつれていく。さて、彼の行く末はどうなるのか物語はそんな問いから一歩踏み出す。大林監督作としては珍しく、成人向けの要素も含んだ大人の味わいが強い一作だが、遊び心の多さを前面に押し出す作品ではなく、ノスタルジックな空気が支配的だ。両親との別れの場面は特に印象的で、個人的にはこのシーンが本作の peak に近いと感じた。その後の意外な展開にも驚かされる一方、全体としては前向きな印象を残す。しかしながら、全く異なる二つのエピソードをむりやり一つの物語に結びつけた構造には違和感も残る。特に終盤のスプラッター展開は、トーンの不一致を生み出し、あまりにも大量の血みどろな展開が場を破壊してしまうように感じた。結末の空き地シーンは長く、蛇足に思える場面もある。要するに、ノスタルジックな趣と両親のエピソードは心に響くし、意外性のある展開も楽しめるが、最後に投入された異質さが後味を損ねてしまう。過去は取り戻せるのかというメッセージも、冒頭と終わりの心境の変化も、いまひとつ腑に落ちない点が気になった。とはいえ、主演の風間杜夫をはじめ秋吉久美子や名取裕子といった実力派の俳優陣は魅力十分。中でも片岡鶴太郎が演じた父親役の、江戸っ子ならではの粋と適切なキップの良さは見事だった。大林監督の眼力が光るキャスティングである点は特筆に値する。総じて、感動と面白さを両立した物語ではあるものの、終盤の異質さが後味を少し引っかかりさせる作品という結論になる。ホラー要素自体は物語の核として機能していたのかは疑問も残るが、それ以上にノスタルジックな雰囲気と両親のエピソードが印象深かった。花札を題材にした余談は微笑ましいアクセントとして記憶に残る。今回はこの作品について、そんな感想を綴ってみた。）

6. 神谷浩史

   2025年10月6日

   この思いに共感できる日が来るのか

   主人公の妻がPに奪われるという意外な展開から始まったものの、その後は浅草での両親との出会いに話がシフト。マンションで自殺した女性との関係は本筋にどのように影響したのだろうか。全体的に昔の雰囲気が漂っている。

7. 河野助三郎

   2025年10月5日

   久しぶりに邦画を観ました。
   この昭和の温かい雰囲気、何とも言えない魅力がありますねと思ったら、ラストの展開には思わず叫びたくなるような驚きがありました（笑）。ホラー要素は2、ジャパニーズハートフルが50くらいの割合でしょうか、笑。

   亡くなった両親と再会することは、何歳になっても幸せで嬉しいことですが、冷静に考えるとあの方々はこの世のものではないわけで、^_^
   この世のものとは違う存在とコミュニケーションを取ったり、食事を共にするのは良くないとよく言われますが、まさにその感覚なのかもしれません。
   怖さよりも、異なる存在たちと過ごした夏の日々が描かれた心温まるストーリーでした。実家のような安心感があって、本当に素敵です。

   最後の展開については、なぜあのようなテイストになったのか、逆に興味が尽きません（笑）。

8. タダオ

   2025年10月4日

   異人たちを先に観たあと本作を観たが、断然こちらのほうが好み。マンションの場面を除けば、日本の夏のジメジメとした空気感がどこかノスタルジックに表現されており、中盤から後半にかけてかなり泣いたのに、ラストの展開で一気に笑えてしまった。結局、お前のせいだったのか。

9. 日野優太

   2025年10月2日

   山田太一の原作・市川森一の脚色・大林宣彦監督による、80年代邦画の真髄を体現した作品。バック・トゥ・ザ・フューチャー(BTTF)や浅田次郎『地下鉄に乗って』の系譜を感じさせるタイムスリップで、若き日の両親に会いに行くストーリーは、誰の心にも強く響く。片岡鶴太郎が見事な名演を披露している。

10. 松本尚也

    2025年10月1日

    離婚を経た主人公は、自身に不自由のない生活を送っている。しかし、日々の暮らしには焦燥感や虚無感が漂っている。

    あるシーンでは、涙が止まらないほど苦しさを感じた。

    自分を大切に育ててくれた家族に、いつになったらすき焼きをご馳走できるのだろうか。時間は有限で、かけがえのない瞬間はいつか終わってしまう。

    主人公が家族に自らの感情を打ち明ける瞬間、家族が優しい表情で静かに耳を傾けてくれるその時間は、儚くも尊いもので、目を離すことができなかった。愛する人に対して、どれだけ自分を正直にさらけ出せるのだろうか。

    もっと歳を重ねて観ることで、感じることが増えるのだろう。

    夏という季節には、不思議な力が宿っている気がする。鮮やかに輝く一方で、いつか終わってしまうという不安を抱えながら、その瞬間を全力で楽しむしかない。