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アイ・アム・レジェンドの感想＆レビュー

1. カワガラス

   2025年11月22日

   フランシス・ローレンスの若き日の感性を、ヒップな悪魔とクールなゾンビという捉え方で評したい気分になる。あの頃の彼は『アイ・アム・レジェンド』（ウィル・スミス主演）と『コンスタンティン』（キアヌ・リーブス主演）を通じて、痛快さと不穏さを混ぜ合わせる目を持っていた。そんな作風の片鱗が、本作にはっきりと現れている。作品自体は決して完璧ではないが、その欠点の取り方自体が魅力的であり、始まりの語り口の予感は見事だ。最後に向かうときの安っぽさが、むしろ不思議な味わいとして浮かび上がってくる。こうした破綻に惹かれる自分自身の感性を、もしかすると僕は抱え込んでいるのかもしれない。さらに言えば、ゾンビという創造上の生命体が破綻から生じている存在であることとも深く結びついている気がする。ゾンビは生の過剰さが死を超えた結果とも表現できるだろう。生が過剰になるほど死が隠れこみ、逆説的に生と死の境界が揺らぐのだ。

   地球上の生命が、単細胞の細胞分裂的増殖から、性を媒介とした繁殖へと進化していく過程を考えるとき、僕の胸にはひとつの確信が宿る。それは生物は性を通じてはじめて死ねるようになるという思考だ。この意味は深く、何度でも振り返る価値がある。人間は性による繁殖を通じて個体としては死ぬが、総体としては生をつなぎ続ける。ところがゾンビには性がなく、その繁殖は細胞分裂的な感染によって行われ、個体として死ぬことはない。しかし総体としては死んでいる。

   つまり、生が過剰なほど死を超えようとする、そんな極限の局面で性が消えた先に、総体としての死が待っているこの暗喩は、AIの行く先やジェンダー問題が抱える難点をも、深い意味で指し示しているように僕には思える。

   ＊

   壮絶に荒廃したニューヨークで、ひとりサバイバルする男。愛犬がシェパードであることも、これまでのタフさを物語っている。物語が進むにつれ、彼を取り巻く状況が次第に見えてくる。

   かつて抗がん治療薬が開発され、治験者全員が治癒したように見えたが、その薬はウイルスをベースにしており、人々を死に至らせ、なかにはゾンビ化する副作用を生むものだった。感染が拡がり世界中の人が死亡するかゾンビ化するなか、ネビル（ウィル・スミス）だけがニューヨークという孤島で唯一生き残っている。

   ゾンビはダーク・シーカーと呼ばれ、高い身体能力を持ち、人間を捕食し太陽光を嫌う。日課として他の生存者へメッセージを送る行為、黙々とこなす日常、空母での打ち放しゴルフの寂しさ、愛犬との会話、食料確保のためのハンティングこれらが、おそらく現代社会に生きる僕たち一人ひとりの孤独を映し出しているようにも思える。

   前半には、天と地が転倒する、いわばコペルニクス的転回の予感が満ちている。ずっとこちら側だと思っていた世界像があちら側だったと示される瞬間。しかし、ラストに向かうほど、それはあえなく裏切られていく。

   その釈然としない感覚のままネットで調べてみると、実は素晴らしいラストが用意されていることが分かる。それは、ダーク・シーカーにも知性と社会性があり、今や地球上の多数派を形成する知的生命体で、唯一生き残っているネビル（ Neville ）のほうがマイノリティで異端的な存在だという解釈だ。

   僕らがネビルの視点に寄り添うと、ゾンビは脅威であり恐怖だが、ゾンビ側の視点から見れば、ネビルこそが人間社会に潜む猛獣のように映ることになる。この設定は『猿の惑星』シリーズを思わせ、ゾンビを殺して血清を作って人間へ戻そうと試みるネビルの行為の正当性が、ラストの転倒によって崩れ去る。

   だからこそ『アイ・アム・レジェンド』というタイトルは痛烈な示唆を放つ。とはいえ、実際にはネビルがほかの生存者を救うべく自己犠牲的な最期を迎え、希望を託す形で幕を閉じる。その意味でレジェンドという言葉は、逆説的な象徴へと変貌する。

   とはいえ、前半のムードが生み出す予感の力強さこそが、本作の魅力の本体であり、破綻ゆえに生まれた不思議な魅力こそが、僕がこの作品を愛する根拠だといえる。

2. ゆぴ

   2025年10月28日

   淡々とした地味な進行が続く。良い点も悪い点も含めて無駄がない。注目すべきはウィル・スミスの演技のみ。

3. 田口愛佳

   2025年10月19日

   面白かったけれど、ゾンビ映画の王道的要素が多く、当時としては新鮮味に欠けた部分もあった。ゾンビ映画を普段観ない人のほうが、より楽しめた気がする。

4. 千葉恵里

   2025年10月18日

   25/10/19 幼い頃に何度か観ていたので内容は大体知っているつもりだったが、大人になってから改めて観ると、細部までしっかり観れていなかったと感じた。文句を言える点は色々あるだろうが、それを抜きにしても、犬が死ぬ場面ほど記憶に残るゾンビ映画は他にない。冒頭、危険から完全に距離を取って安全に暮らしている主人公。そんな日常に、暗闇から駆け込む犬がきっかけで、近づいてくる危機を実感させる演出が秀逸だった。また、危険が訪れる場面に湿っぽさという質感が付くのも良かった。感染者の罠にはまり、陽が落ち切るまでを陰影の表現で描く手法は天才的だ。ただ、感染者のボス的存在の知能が高すぎ、犬を連れてくる場面はやり過ぎにも感じられた。あの後、人型の感染者がどうして参戦せず、家の照明を紫外線ライトに切り替えられる設計にできなかったのか。犬を殺さず生かしておけば治療の可能性もあったのではないか。最後に死なせる必然性があったのか。とはいえ、ゾンビ系映画としてここまで物語の終わりをきちんと締めた作品はむしろ珍しい。なぜここまで美しく終われたのかと考えると、本作は大きな物語の一場面にすぎないのではと感じ始める。大筋としては、ゲーム『ラスト・オブ・アス』のように、アナと子どもが生存者の村を求めて長く旅をし、物語の終盤でラジオの放送をキャッチして主人公のいる埠頭へと辿り着くその先で血清を手に入れ、生存者の村へと運ぶ、という展開を思い描く。こうした構想を「スピンオフ風」として、ロバート・ネビルに焦点を当てた映画として想像すると、別の興味深い作品が見てみたくなる。原作を調べると設定は違うようだが、あらすじを見ればそれもまた魅力的。地球最後の男として、三度も映画化されたという事実も興味深い。総じて、非常に面白い映画だったと強く感じる。

5. タダオ

   2025年10月18日

   ゾンビ映画について。
   鬼滅の刃の鬼と似ていて、日光に出ることはありません。
   治療薬は常温でも問題ないのか?

6. asan

   2025年10月18日

   謎のウイルスが蔓延し、人類がほぼ滅びた世界。免疫を持つ唯一の生存者、科学者ネビルは夜ごと迫り来る脅威と戦いながら打開策を探す。荒廃した都市を駆け巡る探索の旅には、彼を支える仲間サムの存在がある。夜になると外から響く謎の声に胸が躍り、世界が崩壊する前の物語も知りたくなる。Day 1 の記憶を辿りながら、ネビルはサムを家族ではなく友として受け止め、希望と遺志を伝説へと繋ぐ。感染者は日光を避け、血の匂いに敏感な存在ダークシーカーは知性を備えた厄介な敵。彼らは群を成して街へと迫り、雪崩のように押し寄せる。マネキンを罠に使うような創意工夫で立ちはだかるネビルの戦いは、読者を惹きつけて離さない。

7. White Unicorn

   2025年10月15日

   ゾンビとは異なる存在であり、生物兵器ではなく癌患者を救うために開発された治療法が脅威となる。大都市で約3年間も孤独に過ごすことがもたらす精神的苦痛は非常に深刻だ。現実から逃避しようとするその行動には切なさを感じる。それでも彼は、世界のために戦おうとするその姿勢こそが、本当に「伝説」と呼べるものだ。

8. 加藤茂

   2025年10月13日

   ウィル・スミスの演技が大好きで、ストーリーもとても面白い！結末も個人的には納得できて、評価も高い。ただし、犬のシーンだけはパグを飼っていて犬種は違うけれど、犬を家族の一員として大切にしている人には観るのがつらい場面です

9. まきもどし

   2025年10月13日

   何度も観返したくなるほど大好きな作品。犬に触れるウィル・スミスの表情に心を揺さぶられる。風呂敷の畳み方には少し無理やりさを感じる場面もあるが、全体として違和感なく楽しめる。

10. zxcv8

    2025年10月12日

    幼い頃に観た人生初のゾンビ映画。常に絶望的な展開で閉塞感に胸がいっぱいになり、観るのをやめたくなるほど苦しく感じたそれでも、主人公が諦めずに少しずつ展望を開いていく様子を見て胸がすっと軽くなっていくのを感じた。そんな瞬間が心地よかった気がする。あと、犬が生きていてほしいと心から叫ぶ場面も強烈だった。

11. たなか

    2025年10月10日

    戦闘機の翼の上で繰り広げられるゴルフシーンが印象的な作品

    人間の力を超えたゾンビとの戦いに勝利できるのか

    『ワールド・ウォーZ』が好きな方には楽しめる内容です。

12. ストラトファイター

    2025年10月10日

    太陽に弱いゾンビが存在し、そのゾンビを治療するためのワクチンを開発するのがウィルスミスだ。それ以外に特に目立った展開はない。