1939年10月13日に公開の映画「残菊物語」を今すぐ視聴できる動画配信サービス(VOD)を徹底紹介。この記事では「残菊物語」のあらすじやキャスト・声優、スタッフ、主題歌の情報はもちろん、実際に見た人の感想やレビューもまとめています。
残菊物語が視聴できる動画配信サービス
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最終更新日
残菊物語のあらすじ
芸の道で生きるも、次第に没落していく男と、彼を懸命に支える健気な女性。身分の違いを超えたロミジュリのような恋模様と、二人が歩む切ない運命。幸福と不幸が絶妙に交錯する感動の終幕に、思わず涙がこぼれます。白黒の長編で、まだ観たことのない方にはぜひ見てほしい、人生を損なうことになるほどの傑作です。
残菊物語の詳細情報
「残菊物語」の制作会社や監督、キャスト、主題歌アーティストなどの作品に関する詳しい情報をまとめています。作品づくりに携わったスタッフや声優陣をチェックして、より深く物語の世界を楽しみましょう。
原作者 | 村松梢風 |
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監督 | 溝口健二 |
出演者 | 中川秀夫 中川芳江 井上晴夫 伏見信子 保瀬英二郎 六代目 嵐徳三郎 南光明 国春美津枝 大和久乃 天野刃一 富本民平 尾上多見太郎 島章 川浪良太郎 広田昴 志賀廼家弁慶 春本喜好 最上米子 松下誠 柳戸はる子 柴田篤子 梅村蓉子 森赫子 橘一嘉 河原崎権十郎 田川晴子 白妙公子 白河富士子 石原須磨男 磯野秋雄 秋元富美子 結城一朗 花岡菊子 花柳喜章 花柳章太郎 花田博 葉山純之輔 西久代 鏡淳子 高松錦之助 高田浩吉 |
カテゴリー | 映画 |
ジャンル | ドラマ |
制作国 | 日本 |
公開日 | 1939年10月13日 |
上映時間 | 143分 |
残菊物語を無料で見る方法は?
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「Dailymotion」「Pandora」「9tsu」「Torrent」などの動画共有サイトで無料視聴するのは避けましょう。これらのサイトには、著作権者の許可なく違法にアップロードされた動画が多く存在し、利用者側も処罰の対象となる可能性があります。
感想・レビュー
蓮實重彦を知らなかったら出会えなかったかもしれない映画を、配信で観ました。家族には、こんな古い作品をどうして選ぶのかと訝しがられたはず。時代を超えて語り継がれる古典には、わざと古さを味わうような距離感が常につきまとうものです。セリフは聴き取りづらく、映像は鮮明ではない。引きの構図が多く、人物の表情を読み取るのが難しい。テンポも前後のつながりも、時に間延びして感じられる。映画やドラマは、時代とともに進化して、視聴者を飽きさせない作りへと変化していきます。これらのネックを超えて心を掴む作品こそ名作なのだろう。今回の映画も、そうした例でした。後半の舞台設定と、それ以前と以後の展開が、特に強い感動を生み出します。
二つ目のカットでは、後ろ姿の男性が舞台に向かっているが、彼は誰なのか?
このように、菊之助以外の人物から各シーンが頻繁に始まる。
また、最初の舞台終了後のカットでは、親父を煽っている人がいるが、その扇子しか映っていない。確実に存在する人物が画面に映らず、突然フレームに入ってくることがある。
こうしたフレーム内外のつながりは、本作が劇伴なしであるため、映像に音源がない環境音によって鮮明に表現されている。
例:
・名古屋公演後、拍子木の音の直後にお徳が喜びの表情を消し、顔を上げる。
・初めて大阪の家に上がったときや、お徳が一人の状態で帰ってきたときに打ち太鼓の音に反応する。
・最後の会話に合わせて、虫がリリリと2回鳴くことでお徳の心情を表現する。
この映画ほど「言霊」が込められた作品は他にないと感じる。「覚悟はできております」と語るお徳の存在感や、「あなたと呼んでもいいのですね」と布団の中で力なく菊之助と交わすその瞬間。この作品はお徳の言葉とその力によって名作となっている。船の上で菊之助が絶妙な表情で頭を下げるラストシーンは特に印象的だ。感動を助長する余計な音楽は一切なく、ただ囃子の賑やかな音が虚しく響くだけ。観客に強烈な侘しさを与える、映画史上に残るラストと言えるだろう。
菊之助の復帰からお徳が泣き崩れるシーンまで、非常に見応えがあります。歌舞伎の舞台では、観客に見られている緊張感が漂っています。奥行きのある映像と役者の動きが印象的です。
賑やかなシーンでは、台詞が聞き取りづらいことがあります。
冷たい西瓜と鏡餅。バックヤードの空間設計を思わせる光景。建具を通して横へ移動するカメラ。人力車から降りる花柳章太郎、赤子をあやす森赫子、風鈴屋、そして二人の女性。仰角ショット。辻に置いたカメラが首を振り森赫子を追う横顔は、少しピンぼけ。ペドロ・コスタがヴィタリナで見せた瞬間を連想させる。正面から歩いてくる花柳章太郎を、仰角で後退りしながら捉える。駅と鉄道はセット。旅客車内部を横移動で映す。二階へ。甲斐甲斐しい森赫子。旅芸人一座の雨。再会で「あなた」と呟く森赫子、滂沱の涙。仰角の船。驚いて立ち上がる。船の上で挨拶を交わす。
菊五郎の養子は菊之助、家柄のプレッシャーのもと芝居は未熟で悶々とする。周囲のちやほやに対し、菊五郎実子のお徳はあえて辛辣な言葉を投げ、ふたりの関係には障害が次々と立ちはだかる。お徳に思いを寄せる菊之助は周囲の目を避けきれず、関西へ移って一年が過ぎても技量は伸びず、やがてお徳は暇を出される。大阪で再出発を果たし結婚するが、支えとなった旅役者の一人の死去で役を奪われ、旅を続けるも四年で一座は解散。名古屋の安宿で知った東京の仲間・福助らの動向を知り、お徳は菊之助を頼って使ってもらおうとするが別れを条件にされ、覚悟して承諾する。何も知らずに舞台に立つ菊之助は東京で大きな評判を得るが、二人は再び離ればなれとなる。東京での成功を経て大阪公演へ向かうが、お徳の危篤の知らせが届き、菊五郎の許しを得て急いで駆けつける。再会したお徳に促され、船上でのご贔屓への披露の準備を進める中でお徳は亡くなるという結末が描かれる。東京ではど同様に不器用さが目立ち、大阪ではわずかに持ち直してもなお低い評価が続く。旅役者時代を経て絶賛を得るほど成長するのかという問いが残る。旅役者時代の荒んだ描写と、復帰後の賛辞との対比は興味深いが、現代の視点ではお徳の苦言以降の過度なおだてが違和感を生む場面もある。家柄に縛られた周囲を断ち切りお徳の愛を貫く菊之助も、旅役者時代には貧困と挫折に沈む。歌舞伎の世界で家柄が優先される中、支え合った夫婦が東京で成功しても現代なら激しい批判を受けるだろう。東京に戻って成功した時点で菊五郎が許しお徳を東京に呼び寄せていれば、病が治らずとも死別はより穏やかだったかもしれない。人物のアップが少なく、建具越しの構図や移動する主役を追わず脇役を長く映すカメラの動きが独特で面白い一方、フィルムの劣化で光量が安定せず巻ごとに画面がかすかに点滅して頭痛がする。フィルム作品としての趣は高いが、この状況ならリマスター版の公開が望ましい。オープニングのキャストロールが所属先別に分かれている点も初めて見て新鮮だった。
「あなた」と不意に、しかし初めて声に出す瞬間、驚きに包まれる。呼ぶ行為がまるで映画のようなのだ。
歌舞伎界を舞台に、五代目尾上菊五郎の養子・二代目尾上菊之助と実妹のお徳、乳母との身分を越えた悲恋を描く。長回しを多用したワンシーン・ワンショットが多く、それぞれの場面へと観客を深く没入させる。序盤の『東海道四谷怪談』、中盤の『積恋雪関扉』、終盤の『石橋』と、迫力ある劇体験が連なるほか、ラストの船乗り込みでは幾艘の屋形船が道頓堀を巡って華麗に幕を閉じる。舞台裏や楽屋の長回しは、まるで覗き見をしているかのような視覚体験を生み出す。
大変よかった。歌舞伎座一座の跡取り息子に恋をした女中の破滅的な流浪譚。『国宝』の文脈にある作品ながら、あの映画が省いた主人公に寄り添う女性の自律性をしっかり描く(むしろそれが物語の主体)。画面はとにかく美しい。物語は単純だが、ワンシーン・ワンカットを成立させる空間設計が卓越しており、画面を見ているだけでその凄みを感じられる。障害物(長屋など)を挟む被写体とカメラの関係、土手を歩く二人の往来を追うカメラの動きなど、さりげなく凄いカットが次々と現れる。セリフは言葉と発話のリズムが美しく、聴き取れなくても心地よい。ラストシーンも見事だった。妻の死を直感的に知った瞬間の、わずかな硬直と感情を押し殺すおじぎの型。蛇足のない完璧な終幕だった。