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アメリカ、家族のいる風景の感想＆レビュー

1. 内山昂輝

   2025年10月4日

   物影から静かに姿を現すサラポーリー。3回目あたりから観客が笑い始め、当然、自分もその笑いに巻き込まれた。

2. 茶漬彦

   2025年9月30日

   『パリ、テキサス』が好きだけど、こちらも素敵！大人になると、自分が置いてきたものを振り返りたくなるよね。

3. ぐんまちゃん

   2025年9月17日

   若さの頃のように孤独をスタイリッシュに描くのではなく、人生の晩年を迎えた人間が失った時間をどう取り返すかという問いに、後悔と償いのテーマと向き合った。だが劇中の『真っ向から向き合う根性もない』という台詞は、皮肉にもヴェンダース自身がその性格に近いことを示唆しているようにも映る。作品自体はライティングや画の連関がいささか不器用で、全体としては不完全さを孕む。しかし一枚絵として切り取れば、どのカットも際立って格好良さを放つ不均衡の中にこそ魅力が宿る。そんな不器用さこそ、年齢を重ねた一人の男としてのヴェンダースとシェパードのリアルを、映画づくりを通じて浮かび上がらせているのだと、私は感じてならない。

4. 西村大介

   2025年9月15日

   しみる感覚がじわりと染み込み、体全体へと広がっていき、満足する頃に静かに終わる。
   じわじわ染みてきて、体全体に広がり、満足感を得られたころに終わる。
   しみる〜、じわじわ染みて体全体に広がり、満足が訪れる頃に終わる。

5. ゆんちゃん

   2025年8月7日

   西部劇の大スター、ハワード・スペンスは、映画撮影の合間に馬にまたがったままセットを抜け出し、バスを乗り継いで30年ぶりに故郷の町へと戻る。そして、久しぶりに会う母親から、30年前に連絡をくれた女性の話を聞かされる。ハワードにとっては過去に数百人と関係を持った一人に過ぎない彼女が、なんと息子を持っているというのだ。彼はその女性と息子を探す旅をするうちに、さらに別の女性との間にできた娘も見つける。

   冒頭の、馬を乗り捨てて列車に乗り込む瞬間が際立っている。夢を追って西部へ向かい、ハリウッドで成功した男性が、夢に疲れ、中西部という「現実」へ帰ってくる。本作の肝は、彼が夢破れたわけではないという点だ。一般的な夢の国で挫折したのではなく、むしろ夢に疲れたのだ。歳を重ね、夢を生きることに疲れた男であり、なおかつやり直す機会を持ちながら自ら夢を捨てたいと思っている全能の男なのである。しかし、長年空想の世界に住んでいた彼には、馬を自在に操ることはできても、普通の服装で一般人が暮らす世界で生きるのは難しい。バスの乗り方も知らず、カジノで酔っ払いトラブルを起こし、警察に捕まってしまう。巡査に背中を押されて家に帰り、母親に迎えられる彼は、還暦を超えてもティーンエージャーのようである。

   スター俳優は、一夜の関係を築く機会は無限にあるが、息子や娘は替えのきかない唯一の存在であり、それを通じてかつての女性とも繋がっていく。家族になることは簡単ではないが、それほど絶望的に難しいわけでもない。性欲を満たす一夜の行為の結果、30年後に子供がいることが判明したというだけで家族になれるのだ。この映画から引き出せる教訓は、そういうことかもしれない。素晴らしい教訓なのだ。

   なぜこの教訓が素晴らしいのかというと、ヴィム・ヴェンダースの映画が持つ根本的な面白さに深く関わっているからだ。彼の作品は、『パリ・テキサス』や『まわり道』など、人生にはやり直しができることを静かに教えてくれる。中年の男が思いつきで改心し過去を取り戻そうと必死に旅をすれば、結局はうまく収まる場合もある。30年ぶりの連絡でも、母親は仕事を中断して帰ってきた男を迎え入れ、息子や娘は（それなりの葛藤を経て）唯一無二の父親を受け入れる。そして、ヴェンダースの映画には、改心すれば許されるというキリスト教的な甘さがあり、私はその甘さが好きだ。

   彼の映画の魅力は、時に現実とは異なる幻想を抱かれることがあっても、旅を経て家族と夢を再生するテーマは、特にアメリカの文脈でしかリアリティが持てないと思う。西部に出ることは夢を追うことであり、東部で働くために出、そして中西部に戻ることは家族を取り戻すことにつながる。この三者の間に広がる広大な土地は、必然的に移動を伴う「旅」を形成する。このシンプルな図式は、19世紀以来アメリカで成立してきたもので、「旅」を通じる家族の集合や離散の感動を描くには、他の地域ではなかなか実現できない。

   ともあれ、最高の映画でした。懐かしいこういうのをずっと見たかった！ヴィム・ヴェンダースの映画は、アメリカの家族と夢を外から描きながら、人々が持つ故郷への郷愁を喚起し、夢を追い続けた男が、田舎で待つ女と子供のもとに戻ってくるという古めかしい記憶を刺激してくれます。だからこそ、懐かしさを感じるのです。

6. 鈴木二郎

   2025年7月14日

   ロードムービーに帰還した。
   サムシェパードに愛想を尽かされながらも、情熱的に彼を見つめるサラ・ポーリー（ウーマントーキング！）の美しさが際立つ。
   潔癖な表情でオルタナティブロックを歌うガブリエル・マンも魅力的で、特にネジが二、三本外れたフェアルザ・バルクのコミカルな一面が、意図せず息子の心をダメ親父に向けることで、殺伐とした放浪の物語に温もりを加えている。

7. 松田渉

   2025年6月24日

   放浪者のように生きてきた人生。どこにも、誰にも依存せず、自由に孤独を選んできた。だが、愛という結晶が目の前に現れた瞬間、これまでの生き方に疑問が芽生える。

   誰もが一度は、何にも縛られず、誰からも干渉されずに生きたいと願ったことがある。主人公は、まさにそんなタイプだ。だから誰かを愛しても、永遠には愛さなかった。

   だが、皮肉なことに映画俳優という仕事は、誰よりも干渉され、最後には手錠までされる形で現場へと引き戻してしまう。

   結局、生きるということは何かに属さなければならないのだろうか。それが家族であれ、仕事であれ。自分には不要だと考えていた愛は、もしかすると自分を制限するものではなく、逆に包み込んでくれるものだったのかもしれない。しかし、当時の彼にはその可能性を知る由もなかった。これが彼の人生だ。

   物語には、不思議な母の遺骨を持つ女性、お前の息子なんかじゃないと叫ぶ男、無表情に追いかける映画関係者たち。彼らは皆、個性的でキャラクターが確立している。作品全体には、この次はどうなるのか？という予測不能な味付けが施されている。

   やはり映画は次はどうなるのかが魅力。先の展開を見せ方で裏切るような場面こそ、素晴らしい。モンタナの田舎町訪れてみたくなる風景。欲を言えば、彼らと交わる場面をもう少し深く描いてほしかった。

8. ゆぴ

   2025年6月22日

   – なんだかとてもチャーミングな映画。音楽も素敵で、不思議と気分が軽くなる。とはいえ、話の軸はろくでもない父親の物語だ。
   – とても魅力的な映画。音楽も抜群で、観ると心が自然と軽くなる感じ。ただし主役はろくでもない父親の物語。
   – チャーミングな雰囲気の映画。音楽もいいし、気づくと心が軽くなる。とはいえ、物語の中心はろくでもない父親の話。
   – 魅力あふれる映画。音楽が特に素晴らしく、観る人の気分が不思議と軽くなる。軸となるのはろくでもない父親の物語だ。

9. 杉山 真

   2025年6月19日

   ハワードはどこにいるの？ハワードって誰？
   彼はどこに行ったの、どこに行ったの？

   彼は溝の中にいる。
   地面の中にいる。
   姿を消してしまった。
   どこにも見当たらない！

   この曲が頭の中で繰り返されている。

10. 加藤茂

    2025年4月8日

    確かに家族が登場するアメリカを舞台にした作品で、看板の表現には偽りがありませんでした。偉大とは言えない息子、元恋人、そして父親としての男の帰還劇は、それに相応しい騒動や細やかな和解を残しながら、立ち去る鳥が跡を濁さない形で幕を閉じます。アメリカ映画への憧れが漂う中、葛藤や対立が描かれ、埋めがたい溝を実感させつつも、最終的には抱擁を求め、継承の鍵を手放すことはしません。子供たちの対照的な姿勢は、むしろ監督自身のそれを反映しているかもしれません。何もかもを捨て去ろうとしても、本当に全てを手放すことはできず、心の中に脈々と息づき、再び走り出そうとしています。二階から投げ捨てられる家具が生み出すステージの中で、たとえ零落しても、父であることは変わりません。