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博士と彼女のセオリーの感想＆レビュー

1. koramame

   2025年12月5日

   エディ・レッドメインの演技が作品の緊張感を一段と高め、観ているこちらまで心身が削られる思いでした。これほどまでに心を動かされた映画は初めてです。スティーブン・ホーキングの大学院生時代から彼の代表作が生まれるまでを描く伝記ドラマで、テンポも良く、約2時間を見事にまとめています。物語は、妻が夫の延命を選ぶべきかという決断を迫られ、延命を即決する瞬間へと進み、ラストのトークショーでの「生きていれば」という回収が強く印象に残りました。健康であることに改めて感謝したくなる作品です。

2. にゃんこ

   2025年12月4日

   奥さんと別れた理由は最初はわからなかったが、結局ジェーンのための別れだったのかもしれない。ジェーンは病気や余命を知った後でもすぐに結婚し、彼の世話を続けた。私にはその覚悟はないと思うので、覚悟を決めたジェーンの強さには感服する。スティーブンが病気になっても研究を続けた事実は素晴らしい。一般的には余命を宣告されると、生きる意味が見いだせず、残された時間を大切に過ごそうとすることが多いと思う。様々な葛藤を抱えながらも、スティーブンとジェーンはお互いを最後まで愛し続けたのだろう。

3. 松岡禎丞

   2025年12月3日

   『スティーブン』と『ジェーン』は、間違いなくお互いを愛していた。『ジェーン』の看病は献身的だった。しかし二人は別れることになった。愛があっても、近くにいる人を選ぶ遠くの人より近くの人を選ぶ、という現実だ。現在のパートナーより身近に別の相手がいるとき、心変わりは起こりやすい。さらに、スティーブンはジェーンのことを思い、ジェーンを幸せにするようジョナサンに任せたのかもしれない。それだけスティーブンは、優しかったのだろう。ラストで彼が思い出を振り返るとき、そばにいたのはジェーンだった。ジェーンを思い出すということは、スティーブンが本当に愛していたのはエレインではなくジェーンだった、ということだ。スティーブンは、ジェーンがここまで献身的に尽くしてくれたのだから、もう十分だという気持ちになっていたのかもしれない。愛し合う二人がずっと一緒にいるのが理想だが、愛しているからこそ、スティーブンとジェーンの別れもあったのだろう。誰も悪くない。

4. 岩立沙穂

   2025年12月3日

   結末があまりにも現実的で、現実と映画の境界が薄く感じられた。原題の The Theory of Everything（全ての理論）という表現がぴったりだと納得した。

   MBTIで語るのは適切ではないかもしれないが、NFの私には泣けなかった。STの人は泣けるのかもしれない。登場人物もST寄りなのかなと、観ながらそう感じていた。

5. 日野優太

   2025年12月3日

   スティーブン・ホーキングの半生を描く自伝。中盤以降はホーキング博士と妻の葛藤が胸を打つ展開になる。研究を続けたい一方で、妻に重荷を背負わせたくないという思い、そして妻には自由になってほしいとの葛藤。夫をどんな形でも延命させようと選択したが、日を追うごとに弱っていく博士を見て妻自身も揺れる。正直、どの選択をしても間違いではない。宣告された余命2年を超え、周囲のバックアップで研究を続けることができた。周囲の人々への最大のリスペクトを示したい。個人的には、人類史上最も美しい、互いにリスペクトし合う三角関係だったと言える。

6. どりーん

   2025年12月3日

   元ボート部の私としては、ボートの映像があるのが嬉しい！天才であってもこんな恋をしてしまうことや、病気になるのは本当に悲しい。親友に病気を打ち明けるシーンは辛すぎる。クロッケーを楽しむシーンも涙を誘う。博士としての食事会では、みんなが思うように手指を動かしているのに対し、ホーキングがうまく動かせなくなる様子が切ない。ベッドが移動していくのも、どんどん動けなくなっていくのがつらい。言葉もジェーンに伝えられなくなるのが本当に苦しい。ジョナサンは憎めないキャラクターだね。エディの演技は素晴らしい！

7. 小川

   2025年12月3日

   天才肌の物理学を志す大学生が難病を宣告され、余命を背負いながらも愛する人と研究を続ける物語。ポスターの華やかな青春パーティの雰囲気と、霧に包まれた自然の映像美が印象的で、画面全体に緑がかった色味が広がり、ドレスやスーツの青が一層美しく映えます。体が思うように動かなくなる恐ろしさ、突き放す癖を指摘するジェーンの愛の告白、銅像に抱かれる情景、健常者との食事で震える自分の体に耐えられなくなる場面、ポルノ雑誌を見せられる場面、授賞式でペンを拾って差し上げられたらという切なさ、美しい過去を回想するシーンこれらは視線ごとに胸を締めつける瞬間として続きます。病の迫真の演技は、見る者の身体までも凍らせるほどの緊張感を生み出します。若くして未来を理解しつつ結婚を選ぶジェーンの聡明さ、症状が進んでも変わらないブライアンとの友情、離婚後も続く二人の理性的な関係性が強く印象に残ります。介護の現実は孤独であり、被介護者は尊厳を揺さぶられる日々。ジェーンとスティーヴンそれぞれが互いを支え合い、介護と子育ての重荷を抱えながら生を諦めない強さを見せます。映画は半ばにも満たない段階で嚥下が難しくなる描写が訪れ、観る者に強い絶望感を与える場面もありましたが、それを乗り越える希望の灯を観客は信じずにはいられません。いつか治療法が見つかることを願いながら、演技の深さと余韻に満ちたこの作品は、難病映画として心に長く残るはずです。

8. Ayumu Kohiyama

   2025年12月2日

   エディ・レッドメインの演技は素晴らしいですね。

   彼が徐々に衰えていく様子を見ていると、頭はしっかりしているのに体が動かせなくなる、そんな残酷な病気があるのだと感じました。

   どんな人にもできることがあり、成功を収める可能性がある、生きていれば希望は尽きないという言葉には、説得力があって心に響きました。

   愛があっても、辛いことは辛いし、きついことはきついものです。そのギリギリの状況で長い間耐えてきたのに、あれは本当に心が折れてしまいますよね。

   奥さんが頑張っていたんだなと思ったら、原作でも奥さんだったとは！そう考えると、どこまでが本当に起こったことなのか、気になってしまいます。

   この映画とは直接関係ありませんが、『インターステラー』のおかげで、キップ・ソーンに対する愛情が芽生えました。彼の名前が出ると、なんだか嬉しくなります。

9. 松田渉

   2025年12月2日

   中学生のころ確実に観たはずなのに、ワンシーンも思い出せず再視聴してみた。映像を満たしていたのは、イギリスの街並みと美しく光る建物群。記憶は断片だけが残っていて、観ながらところどころ朧げに記憶がよみがえる。

   舞台設定が外光と影の対比を活かして美しく、無神論者の科学者と信仰心を抱く人々の対話が物語の核を成している。登場人物の理念のぶつかり合いが、宇宙という大きな謎へと導く。

   オープニングのディゾルブは強烈だ。車椅子から自転車のタイヤへと連なる映像の連鎖と、炎のモチーフが視覚的に印象を残す。言語学を学ぶ登場人物が博士号を志す描写は、物理学だけでなく人間の思考の幅を感じさせる。

   徐々に描かれる身体の衰えの恐ろしさは、科学と感情の両方に直撃する。子どもを授かることの難しさという現実的な苦悩も、物語の奥行きを深める要素として響く。「男の本質がよくわかる」と言われる場面もあり、登場人物の人間臭さが際立つ。

   演出のひらめきは炎を用いたショットで特に鮮烈だ。友人の思いやりが物語の温度を高め、銅像の上に一時的に置かれる象徴的な演出が緊張と希望を同時に描く。微妙な人間関係の緊張感は保たれつつ、過度なエロティシズムを抑えた作りがリアリティを増している。ポルノ雑誌を読むシーンは緊張感とユーモアのバランスを生み出す要素として印象的だ。

   そしてオープニングの続きへと誘う構成は、この作品の魅力のひとつ。逆再生で締めくくられるエンディングの仕組みは、記憶の断片と新しい理解を結びつける巧みな手法として際立つ。

   ただし、作中で語られる私生活の背景たとえば妻の離婚後の介護鬱といった事情は、直接描かれず、エンディングの文章にも言及されない。その点は観客の想像力に委ねられている。

   キップ・ソーン監修のこの作品は、宇宙論研究だと語られる場面が象徴的で、現実は決して僕らの味方ではないと告げる一方で、”命ある限り希望はある”という力強いメッセージを宿している。

10. かず

    2025年12月1日

    『すべての理論』
    1942年生まれの理論物理学者、スティーブン・ウィリアム・ホーキングの伝記映画。家族、同僚、看護師といった彼の周りの人々の感情が交錯し、描かれている。これは単なる恋愛映画ではない。

    さらに、やはりイギリス映画は映像が非常に美しい。1960年代のケンブリッジ大学周辺の街並みや服装は、全て私の好みにぴったりだ。