1995年12月9日に公開の映画「幻の光」を今すぐ視聴できる動画配信サービス(VOD)を徹底紹介。この記事では「幻の光」のあらすじやキャスト・声優、スタッフ、主題歌の情報はもちろん、実際に見た人の感想やレビューもまとめています。
幻の光が視聴できる動画配信サービス
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幻の光のあらすじ
ゆみ子は12歳の時に祖母が行方不明になるという苦い経験を持つ。25歳になった彼女は、夫・郁夫と息子と共に穏やかな日々を送っていたが、ある日突然、夫が列車に飛び込み自ら命を絶ってしまう。5年後、愛する人を次々と失った悲しみと、それを止められなかった悔いを抱えたゆみ子は、奥能登の小さな村に住む民雄の元へ嫁ぐ。新たな家族に囲まれて穏やかな生活を楽しんでいたが、やがて前夫の死の影が彼女に徐々に迫ってくる…。
幻の光の詳細情報
「幻の光」の制作会社や監督、キャスト、主題歌アーティストなどの作品に関する詳しい情報をまとめています。作品づくりに携わったスタッフや声優陣をチェックして、より深く物語の世界を楽しみましょう。
原作者 | 宮本輝 |
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監督 | 是枝裕和 |
出演者 | 内藤剛志 吉野紗香 大杉漣 寺田農 市田ひろみ 木内みどり 柄本明 江角マキコ 浅野忠信 赤井英和 |
カテゴリー | 映画 |
ジャンル | ドラマ |
制作国 | 日本 |
公開日 | 1995年12月9日 |
上映時間 | 110分 |
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感想・レビュー
穏やかな映画でした。江角マキコさんがdr.xに対抗する姿も見てみたいですね。
是枝裕和監督の映画デビュー作。原作は宮本輝の同名小説、脚本は荻田芳久、主題歌はサニーデイの「幻の光」。
キャスト(主要)
– ゆみ子:江角マキコ(第19回日本アカデミー賞新人俳優賞受賞)
– 郁夫:浅野忠信
– 民雄:内藤剛志
– 道子:木内みどり
– 弘:大杉漣
– 喜大:柄本明
– その他:渡辺奈臣、吉野紗香、赤井英和、寺田農、桜むつ子、市田ひろみ
作品情報
能登の雄大な自然を背景に、喪失と向き合う女性のヒューマンドラマ。1995年公開・上映時間110分。
見どころ
風景は切なく美しく、心情が丹念に描かれる。自然の美と情感が絡み合い、観る者の胸に深い余韻を残す作品です。
あらすじ要点
12歳の時に祖母が失踪したことを深く悔いていたゆみ子は、大人になって結婚し息子・勇一を得て幸せに暮らしていた。しかしある日、動機が分からないまま夫・郁夫が突然自殺してしまう。悔恨の思いを胸に秘めつつ、日本海に面する奥能登の小さな村で民雄と再婚するがという展開へと進みます。
個人的な感想(視点)
新たな生活を送りながらも過去に縛られるゆみ子の振る舞いは、再婚相手の民雄にも容易には伝わりません。むしろゆみ子の方が過去に他方程式なく囚われている場面があり、民雄を責める場面には、うーんと考えさせられる瞬間が生まれます。
そうした女性のズルさの表現こそ、是枝作品の特徴のひとつだと感じます。傷は人それぞれ深さも量も異なり、それ自体がその人の存在理由にもなるのだと捉えられます。
自分の傷を受け入れない限り他者を信じられないそんなテーマが作品全体に流れ、結末の解釈も観客に委ねられているように思います。私はゆみ子を信じたい気持ちを抱きつつ、物語の余韻を噛み締めました。
方言の響きは優しく、同時に切なく風景は広がり続け、心に弱さと温かさを同居させる作品です。観るタイミングは、心が元気なときよりも、静かな心持ちで鑑賞すると深く染みるでしょう。
心に残る一節
「一人で海の上におったら、沖の方に綺麗な光が見えるんやと
チラチラ、チラチラ光って、俺を誘うんじゃと言うとった
誰にでもそういうこと、あるんちゃうか?」
幼少期に亡くした祖母を忘れられないユミコは、結婚して子をもうける。しかし、最愛の夫は突然自ら命を絶つ。過去の喪失と向き合い続ける人物の物語は、『歩いても 歩いても』と同様に過去の喪失に囚われる人を描く。原作がある作品で、是枝監督のオリジナル脚本ではない点が特徴。家族全体の群像というよりも、ユミコの主観に寄った語りが中心となり、机の上で転がり揺れる電球や証明といったモチーフにはエドワード・ヤンの影響を感じさせる。作中に大きな事件は起きないものの、観客を不穏な恐怖へと誘う空気が全編を支配する。その静謐さはどこか小津安二郎の作風を思わせる。
ユミコは過去から覚められない人として描かれ、いわばトラウマの夢のような感覚にとらわれている。それを拭い去ることができず、大阪の家と能登の家の間取りが似て見えるほど日常が過去と重なる。本作は家族よりも男女の関係性に焦点が置かれている印象で、江角マキコと内藤剛志のやり取りは成瀬巳喜男の映画の男女を連想させる。
人は過去や絶望を完全に乗り越えられるほど強くはない。しかし、同じ苦しみを抱える誰かがそばにいるだけで心は軽くなり、前へ進む力が湧く。星の光を同じ方向に追う者がいるだけで、明日を夢見ることができるそんな希望を静かに伝える作品である。
愛する人が理由もなく旅立ち、ひとり残された女性。新たな人生を進むが、愛と過去の思い出は彼女の中に留まり続ける。
そんな、過去の重荷を背負って生きる姿が描かれている。
ひかりが差し込む角度や場所の一部が、ぐわっと胸を掴むように感じられる。考えても分からないことは、ずっと分からないままだろう。でも、理解したい気持ちは消えない。自然の大きさは圧倒的で、田んぼの端を走る二人の姿が、特に好きだった。
終始静謐なトーンが貫く本作は、光と影、昼と夜、夏と冬、町と田舎、喧騒と静けさといった対比を美しく映し出します。遠景と近景を自由に操るカメラワークは特に印象的で、台本を超えて自然が語りかけるような風景と、抑制された演技の綾みが物語に独特の余韻を宿します。
江角マキコの女優デビュー作であり、初主演作でもあります。技術的に卓越といえる演技ではないものの、素朴さのなかに宿る硬さと佇まいが、かえって生々しく観客の心を揺さぶります。低めの声はときに棒読みのようにも聞こえますが、不思議と心地よく響くのが特徴です。
裕福ではなくても穏やかに暮らす夫婦が、待望の子どもの誕生を目前にして夫を突然失います。その喪失の重みを抱えたまま数年後、新天地での生活を始めますが、理由の分からない夫の死が折々に心をよみがえらせます。現状の暮らしに不満はないものの、子どもの成長を見守る日々にも、心の安寧は完全には戻りません。
人は誰しも、経験は異なっても心の奥に似た消えない影を抱えるそんな普遍的な感情に寄り添い、静かでありながら深い余韻を残す作品です。
#夫婦#親子#息子#自死#自殺#家族#尼崎#能登#祖母
絵作りは美麗だが、静的で既視感を覚える場面もある。大監督もやはり模倣から始まるのだろうか。相変わらず子役の演技は素晴らしく、江角マキコの佇まいは驚くほど美しい。人間味あふれる魅力が伝わり、役を超えた存在感を放つ。さすがの貫禄だ。
生の連続が一瞬途切れる時、見え隠れするのは絶望ではなく、幻のような光かもしれない。素晴らしいと思いました。
十二歳で祖母が姿を消し、二十五歳で夫を喪った女性が、新たな地で再婚するも、愛する人々を次々と失うことへの後悔と自己非難に苛まれる様子を描く。
光と影による「喪の作業」を映像で表現。夫を失った「絶望」から、喪失を受け入れ「再生」へと進む心理的な過程が静かに紡がれる。
荒れ狂う日本海を背景にした輪島の景色は寂しさと懐かしさを帯びている。海の映像は常に死の気配を漂わせ、海辺での葬列や火葬の場面では、江角マキコが死に誘われているような不安定さを感じさせる。
夫の自殺が原因で、遺族はその理由を理解しようと自問自答を繰り返すが、自殺の動機を本人すら説明できず、他者が理解することはさらに難しい。内藤剛志は「幻の光」という答えを示し、「誰にでもそういうことがあるんちゃうか」という言葉を添える。
悩む人々にとって、その程度の説明が救いとなり、ひと歩みを踏み出すきっかけにもなる。
登場人物たちがほとんど黒い服を着ているのに、それが非常におしゃれなのはどういうことなのだろう。喪に服しているという意味があるのだろうか。
好みのプロットではないけれど、映像には圧倒されるものがあった。