早見沙織

ずぶ濡れの帰り道、藤は少し変わった「犬」と出会う。犬はフリップを使って「拾ってください」と訴え、藤に折り畳み傘を差し出す。しかし、この犬はただの変わり者ではなく……？日常の中に現れたちょっと不思議な相棒と共に、四季を感じながら、食事をしたり、出かけたり、おしゃべり（？）したりと、心温まるひと時を過ごす。1人と1匹、きっと親しい2人の暮らしは“あともうちょっと”の幸せで満たされている。

時は天保十一年（1840年）。大飢饉によって人々の心が乱れる中、鬼は人の姿に変わり、人々を弄ぶようになっていた。 江戸から遠く離れた山奥の集落・葛野（かどの）。ここに住むのは、甚太と鈴音という兄妹だ。幼い頃、何らかの理由で葛野にやってきた二人は、周囲に受け入れられ、仲良く穏やかな日々を送っていた。集落には、「いつきひめ」と呼ばれる巫女がいて、成長した甚太はその巫女の護衛を…

最強の殺し屋・坂本太郎。その名は恐れと憧れを生む存在だったが、ある日、彼には恋が訪れた。コンビニで働く葵に一目惚れした坂本は、殺し屋の仕事をあっさりと引退。結婚と娘の誕生を経て、のどかな街で自分の店を営む日々。ところがそんな坂本には、かつての影が薄れたわけではなく――実は体格がすっかり変わっていた。愛する家族の平和を守るため、元伝説の殺し屋が再び刺客へ挑む。日常と非日常が交差する、ソリッドなアクションが幕を開ける。

誰もが胸の内に隠す自分を抱えて生きている――世界が水面下で熾烈な情報戦を繰り広げていた時代。東国（オスタニア）と西国（ウェスタリス）は、十数年間に及ぶ冷戦を続けていた。西国の情報局・東課WISE（ワイズ）に属する凄腕のスパイ、黄昏（たそがれ）は、東西の平和を脅かす危険人物・東国の国家統一党総裁ドノバン・デズモンドの動向を探るため、極秘任務を命じられる。その名も、オペレーション…