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少女邂逅の感想＆レビュー

1. 河野助三郎

   2025年10月30日

   内容は好みでした。
   鬱屈した状況下での出会いから、状況が好転していく流れに生まれる不和がとても好きなんです。このテーマは多くの思春期映画や親密さを重視した物語に共通していて、非常に人間味のある構造だと思います。

   これは差延（ディフェランス）や他者の視点に近い考え方で、「他者を通じてしか自分は変わらない」「しかし、その変化によって過去の自分は消えてしまう」「したがって、出会いは常に死を孕む」という法則が登場人物たちの中で無秩序に発生すると、いわゆるエモが生まれるのではないかと思っています。

   制服を着たモトーラ世理奈の二人称が「キミ」である解釈には非常に共感しましたし、映像の演出も個人的には違和感なく「お、いい感じだな」と感じました。ただ一つだけ気になる点があって、セリフが本当にダサいんです。それが残念で。

   私はくさいセリフが大好きで、かっこよさを振り切った結果として笑いを誘うような言い回しは最高です。「広い世界を見せてやるよ、、、（暗黒微笑）」だと寒く、「不吉を、届けに来たぜ、、、（少年漫画BLACK CAT引用）」だと寒すぎて逆に熱い！という感覚、わかりますか？
   「マッドドッグに始まり、ヘルドッグに終わる、、、か（岡田准一主演の映画ヘルドッグス引用）」のような寒さを乗り越えて燃え上がるようなくささが欲しいです。

   本作のセリフには「滑っているかもしれない」と感じる部分が多くて、そこだけが少し恥ずかしかったです

   とはいえ、めちゃくちゃおすすめです。ハマる人にはとてもハマると思います

2. 清水

   2025年10月29日

   互いが唯一の避難所であり、近寄りすぎると壊れそうで、離れると消えてしまいそうな微妙な距離感。その不安定さが現実味を帯びていて、心に響く。

   紬が抱える苦しみや孤独に気づきながらも、それを直視できずに逃げてしまう様子が巧みに描かれている。

3. JOJO

   2025年10月17日

   好きな映画。美しい映像の裏に潜む人間の卑劣さをぎゅっと凝縮した作品で、観るのがつらいのに、また観たくなる。ブルーの薄い膜に包まれたふたり。

4. 影造

   2025年10月15日

   可愛がっていた蚕が少女に変身し、いじめから救い出してくれる動物の恩返しを描いた映画。つむぎちゃんは最終的に餓死してしまうのですが、少し不思議なことに、その餓死が彼女にとても似合う雰囲気を漂わせていると思いました。

5. カワガラス

   2025年10月11日

   『放課後ソーダ日和』の冒頭で登場する2人を、数年ぶりに振り返ってみました小3の頃に授業で育てた蚕に「レックウザ」と「カリンちゃん」という名前をつけた、懐かしい思い出がよみがえります。みゆりは紬と出会い、新しい友達と共に広がる外の世界を望み、紬はみゆりと共に2人だけの世界を夢見ていました。外部からは見えないけれど、世界は広く、人それぞれにさまざまな苦しみがあります。紬はずっと苦しみ続けていた蚕のようだったのですね。試験前にかかってきた電話も、紬からだったのかなと思うと、何とも切ない気持ちになります ピンクや水色、白のフィルターがかかったような色合いが幻想的で、まるで夢の中にいるようです。二画面構成も可愛らしくて好きです。

6. YMD

   2025年10月10日

   4年前に観て以来、不可思議で惹き込まれる音楽と映像の印象が強かった映画を、もう一度観直しました。やはり映像はふわりとした質感で、それでいて切ない表現を難しく感じさせる作品です。特にエンディングの曲が本当に好きで、ずっと聴いていられます

7. どんぺー

   2025年10月7日

   視聴2回目

   「掴みかけているのに、実際に掴むとどろどろになる」

   「近すぎると糸が絡まって使えなくなってしまう」

   二人だけの特別な空間で、君を崇めて、
   切れた糸

   儚いものだからこそ美しい思い出となり、
   終わりを受け入れれば傷つかずに済むのか

   それとも、近づきすぎて失うとしても、
   お互いを求め続けるべきなのか

   正解も間違いもない
   今その人と過ごす時間があるのなら
   それをそのまま楽しむことができるのなら
   それでいいんだ

8. ゆんちゃん

   2025年10月3日

   はあ、苦しい自分を助けてくれたあの子を最後まで助けられなかったなんて、思わず泣けてきちゃう。もっとも逃げ場がなかったのは紬だったよね。2人で放課後に出かけるのを見ると、あの青春が本当に羨ましかった。ネバヤンのMVに出てくる小松菜奈のような愛おしさを感じる。痛みがあるからこそ生きる価値がある、体にしか価値がないなんて、蚕に重なるセリフがとても印象的だった。そして、2人の顔が本当に好き。

9. にゃんこ

   2025年9月29日

   同級生からのいじめに苦しむ孤独な少女と、彼女の学校に転校してきた少女の交流を描く物語。群馬県富岡市を舞台に、蚕・繭・糸をモチーフにした演出が印象的だ。閉ざされた地方の片田舎、学校という狭い世界は繭のように表現され、親や学校の管理下で生き延びる少女たちは蚕に喩えられる。距離感の揺れが生む群像と、近づきすぎれば互いを傷つけてしまう関係性も、仕切りがなければ繭が絡み合う蚕の姿として描かれる。思春期ならではの煩わしさと不安が、繭と蚕のモチーフと重なる。主演の保紫萌香とモトーラ世理奈は、傷つき合う関係性をリアルに演じ、演技力が高く評価されている。保紫萌香が現実と向き合い、努力によって閉ざされた世界から脱出する結末は清々しく、観る者に爽快感をもたらす。一方、モトーラ世理奈の結末は残酷さを含むが、メンタルヘルスを抱えた人物を救うことの難しさを描き、納得の余韻を残す。

10. うい

    2025年9月28日

    あの頃、目に焼き付いていた
    死への思いと青い春が
    交錯する映像の世界

    こんなに
    過ぎ去った日々に
    心を寄せる作品は
    他にはない気がする

11. 西村大介

    2025年9月23日

    冬の朝、電車に乗りどこかへ向かうとき、雪は降っていないのに周囲が白く感じる。息の白さ、目の白い部分、日焼けで薄くなった肌に映える髪のくるくる、白、白、白に目が奪われていた。私はその頃、月の7日間以外は白い服でいたいと願っていた。柔らかさの中に冷たさを感じる色。よく似合うと言われた記憶があり、過ぎたことではなく、得たものに目を向けることができた。失ったものを嘆くのは難しく、柔らかい踝では抱えられない感情だった。木々の間を歩くと、凍える寒さの沈黙の中に不思議な五月蝿さを感じる。自分が喋りすぎていると思いつつ、静けさの中に小さな足音が響く。唇が乾く私を潤す水を多く注いだら、体中が冷えてしまったかもしれない。温めて、その一言を煙たい背中に望めばよかった。1つの愛、青がほしいと求めれば、すべてを与えてくれた。最後のお願い、そばにいてと引き留めたなら、冬の先にある生温かい春に再び会えたのだろうか。写真を見返すと、若い頃の美しさは幻想で、年を重ねるごとにますます美しくなる。目の奥の色も変わり、喪失から立ち直る強さも増した。真っ赤な血の固まった後にできた黒いかさぶたを無理に剥がさず、気づけば取れているような、そんな長い時間を過ごすことに。春香、もっと怒ってほしいと言われるようになった。そんな言葉の数だけ、踝だけでなく、首や肌、目、話し方も柔らかくなった。東京駅でうずくまっていた私は、時間が癒してくれ、立てるようになった。突き抜ける白と白が交わり、傷を負った時、痛みはその場所だけではなく全身に巡る。「でも冬って痛いけれど、空気が浸透していて他の季節より巡り合わせが良いんだよね。寒いねと共感し合える痛みを分かち合える。プライドや言えなさが吹き飛び、忘れたいことも透き通った日には忘れられる。固まった水が鋭い氷になって刺すのでもなく、突きつめるように見つめるのでもなく、ただ互いに溶かし、枯れた枝が折れるように、寄りかかればいいんじゃないか。」今なら、その言葉の意味がよくわかる。

12. にゃむ

    2025年9月19日

    最初はいじめを受けて心が沈んでいたが、転校してきたつむぎのおかげで前向きに明るくなり、新しい友達もでき、見た目も可愛く変わっていく。それとともに、つむぎからどんどん距離が離れていってしまうのがリアルだ。