1952年10月9日に公開の映画「生きる」を今すぐ視聴できる動画配信サービス(VOD)を徹底紹介。この記事では「生きる」のあらすじやキャスト・声優、スタッフ、主題歌の情報はもちろん、実際に見た人の感想やレビューもまとめています。
生きるが視聴できる動画配信サービス
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最終更新日
生きるのあらすじ
30年間無欠勤で市役所の市民課長を務めてきた渡辺は、ある日、自身が癌に罹っていることを告げられる。絶望感と孤独に苛まれ、これまでの平穏無事な生き方に疑念を抱いた彼は、最後の力を振り絞り、市民のために小公園の建設に取り組むことを決意する。しかし、その道のりは容易ではなく….
生きるの詳細情報
「生きる」の制作会社や監督、キャスト、主題歌アーティストなどの作品に関する詳しい情報をまとめています。作品づくりに携わったスタッフや声優陣をチェックして、より深く物語の世界を楽しみましょう。
監督 | 黒澤明 |
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脚本家 | 小国英雄 橋本忍 黒澤明 |
出演者 |
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カテゴリー | 映画 |
ジャンル | ドラマ |
制作国 | 日本 |
公開日 | 1952年10月9日 |
上映時間 | 143分 |
感想・レビュー
死を間近にした公務員が、最後に何かを残そうとする物語。癌に冒され死期を悟った無気力な公務員が、自己の存在意義を問い直す姿を静かに描く名作です。
往年の名作として語り継がれる本作は、志村喬の演技がとりわけ輝きます。理解のない兄や息子との孤独感、一瞬の享楽の後に訪れる不安、そして消え入りそうな状況でも前へ進もうとする覚悟が胸を打ちます。
主人公は役所勤め30年の公務員ですが、演じる志村喬は実年齢より若い47歳前後に見える点も興味深い。昔の人の老成ぶりに改めて驚かされます。
1952年の作品ゆえ一部セリフが聴き取りづらい箇所があるため、日本語字幕があると鑑賞が快適です。
2025年公開、52作目。渡辺さんのモゴモゴした喋りと昔の音質の影響でセリフが聞き取りづらい場面が多く、字幕を付けることができなかったため途中でフラストレーションが蓄積し、最後まで観るのを諦めそうになった。
それだけに、ラストはそんな不満を瞬時に忘れさせるほど強く心に響いた。これこそ本物の映画だと感じさせてくれる、言語化できない感情が湧き上がる体験だった。
最後の通夜の場面では、酒が程よく回り、生前の渡辺さんの生き様を語る同僚たちの姿に心を動かされる。しかし日常に戻れば、これまでと変わらず淡々と仕事をこなす。結局、人はそう簡単には変わらない、という現実を飾らず描くリアルさが素晴らしかった。
全体を通して過度にエモーショナルには振れず、それが逆に誰の心にも素直に響く要因となっていた。
リメイク版を先に観たけれど、本作もやはり味わい深い。ときどき台詞が聴き取りづらく、字幕が欲しいと感じる場面があった。
リメイクされたイギリス版が良かったので、本家も観ることにします。先に本家を観ておくべきだったかもしれません。
【生きるとは一体何か、軽々しく語るな】
ストーリー:4.0
芸術性:4.2
演技・俳優:4.3
演出:4.2
感情の揺さぶり:4.3
2025年、これが私の100本目の作品。この映画を選んで本当に良かった。戦後7年で制作され、70年以上が経った今もなお輝きを失わない名作。黒澤明の力は本当に恐ろしい。
「生きるとは何か」と単純に言うのは陳腐だが、秀逸なのはその問いを直接照らすのではなく、周囲の影を通して浮かび上がらせている点だ。
タイトルこそ『生きる』だが、主人公の渡辺が「生きていた」瞬間が描かれるのはわずか2分ほど。前半は彼の死にかけた姿からの復活、後半は死後に振り返って「生きていた」瞬間を語り、いずれも周囲の証言や回想を通じて我々は彼の生を「見る」ことができる。この描写がまた、涙を誘った。人は亡くなった後、その生き様がどのように語られるかで評価されると言うが、命を削り自身の人生を懸けた集大成のために奮闘する姿に心を打たれた。
また、「生きるとは」の安易な答えを示さないだけでなく、トヨちゃんの葬式を通じてそのテーマを巧みに回収しない構成も素晴らしい。
ただ、この映画を観て「明日から一生懸命生きよう!」とは言えない妙も感じた。終盤、真相が浮かび上がる中で同僚たちが騒ぐものの、結局は仕事を始めた途端、彼らは何も変わらない。これこそがこの映画の核心とも言えるだろうが、結局、自分のこととして生きるか死ぬかの問いを突きつけられなければ、人は変わらないのだ。
志村喬の演技も圧巻で、何重にも緻密な構造を持つ傑作だった。流石は黒澤明の作品。
生きた証。
「生きる」という尊さ。「生きる」という儚さ。
五感がくれた幸福。
平凡な日常の裏には平穏がある。
私は俗にいうガンサバイバーだ。抗がん剤治療を経て一年が過ぎ、再発はしていない。
この渡辺と同じような境遇に置かれ、生きることと死ぬこと、自分自身の「死生観」と向き合う必要があった。
放置すれば病はさらに悪化して死を招くかもしれない。
だから「生きる」ための治療を選んだ。
患者目線の医療にはまだ日本は追いついていない。医療現場と製薬会社の癒着。薬を使うことの意味。抗がん剤治療は遅れた医療だという記事を読んだことがある。先進国では患者の身体的負担が大きいため、あまり使われないらしい。
がんの治療に抗がん剤が必須ではない。選択肢は豊富であるべきだ。日本はそこが遅れている。製薬会社が力を持つ影響がある。
遺伝子レベルに直接作用する、身体への負担が小さな治療法も存在すると聞く。しかし日本では保険適用外で高額な治療とされる。
副作用は個人差が大きい。私はステージ4に近い状態だったため抗がん剤を選択した。副作用で生活の質は確実に下がった。吐き気、食欲不振、味覚障害、しびれ、血管痛、寒暖差で生じる痛み。
日常の些細なことさえ難しくなる苦痛。何のために治療を続けているのか分からなくなることもあった。
渡辺は無骨だが真面目に生きた。死と向き合うとき、存在しない先に何を見つけるのか。
公園建設という渡辺の夢は、生きてきた証のようなものだった。そこに確かに自分の居た軌跡。
通夜の場面は極めて象徴的で、印象深かった。日常はそんなものである。平穏だからこそ、日常に埋もれてしまえる。
重苦しいことを長々と書いたが、私にはまだ生きる希望がある。渡辺のように死を見つめるのは、まだ先の話だ。
前半は病院や遊び人、若い女性が登場し、スムーズにストーリーが進行していく。命の重みと、それを代償にした行動力が力強く伝わる。後半はまさに『十二人の怒れる男』を思わせる展開で面白い。最後に渡辺さんの魂を受け継ぐのが一人だけなのもリアリティがあって心に響く。黒澤監督による初めての映画がこれで良かったと思う。ただ、渡辺さんの声が小さすぎて聞き取りにくいのが残念だが、それでも彼の行動には深い意味がある。
前半は展開が遅くて観るのを諦めそうになったが、名作と呼ばれる理由を最後まで実感でき、結局見て本当に良かった。
正直、私は『素晴らしき哉、人生』の方が好きだ。診察を受ける前に周囲から『胃癌なら医者は大抵「胃潰瘍だ」と言う』と吹き込まれ、医師がそのまま同じ言葉を伝えたのを聞いて、私は『志村喬は胃癌だと思い込んでいるのに、実際は胃潰瘍というパターンなのか』と勘ぐってしまい、結局は胃癌だと知って動揺した。対比としては日本らしさを感じる場面でもあるが。とはいえ、自分でもはっきり分からない部分があるが、黒澤明の感動を誘う人生讃歌には癇に障るところがある。心は動かされず、尺も長い。
カラー版を鑑賞。生きるとは何かという普遍的で深いテーマを、黒澤監督は卓越したタッチでスクリーンに描き出す。今回は、たった一つの公園を作るために命がけで奔走する男の物語だ。要するに「一つの公園をつくる話」とも言えるだろう。数年経てば公的機関の記憶にも残らないかもしれないような仕事かもしれないが、何かを立派に成し遂げようとする生き方そのものが、現実の意味を教えてくれる。結果として、彼は残りの人生をその公園づくりにすべて昇華させるほどの情熱を注いだ。主人公は、目の前にある自分にできる精一杯のことを全力で尽くす。人生には欲望や葛藤がつきまとうが、それらは実はそれほど複雑でなく、素朴で奥深いものなのだそんな気づきを与えてくれる作品だった。