全長23メートルのアイツが深海からやって来る! 『MEG ザ・モンスター』試写会レビュー

 

サメ映画の金字塔『ジョーズ』をはじめ、スーパーマーケットにサメが乱入する『パニック・マーケット』、双頭の鷲ならぬサメが大暴れする『ダブルヘッド・ジョーズ』、いろんな種のサメが楽しめる『シャーク・ウィーク』、竜巻とサメのコラボで大ヒットとなった『シャークネード』……と名作から珍作までさまざまなサメ映画を観てきた私。

 

『MEG ザ・モンスター』試写会の案内状が届いた時、ヒャッホウと小躍りしつつも、一抹の不安を感じてもいた。なぜなら、本作がメガロドンを題材にしているとあったからだ。蘇った古代ザメが人々を恐怖に陥れる……というストーリーは、サメ映画の王道のひとつである。メガロドン関連の作品で面白いと感じた記憶がないのだが、ステイサムが主役ならきっとそこそこ楽しめるだろう。そんな思いを抱きつつ、試写会へ向かったのだった。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

はたしてステイサムは期待を裏切らなかった。妙に水中でいい動きをしていると思ったら、過去にはイギリスのダイビングチームの選手として総合競技大会に出場した経験があるそうだ。まさに古代ザメ・メガロドンこと<MEG>と渡り合うにふさわしい実力を備えた、水陸問わず戦えるタフガイと言えよう。序盤ではタオル1枚のセクシーな姿を見せてくれるので、マッチョ好きはこちらもお見逃しなく。

 


▲メガロドンと戦えそうな男というと、ステイサムかドウェイン・ジョンソンくらいしか思いつかない…。

 

そんなステイサム演じるジョナスに反発する、海洋生物学者スーイン(リー・ビンビン)のツンデレぶりもなかなか魅力的だ。聡明な美女だが、単身で危険な任務に臨むような大胆さ、ジョナスに食ってかかる勝ち気な顔など、いい意味でのアンバランスさとチャーミングさを持っている。

 


▲単身でMEGと対峙し、攻撃のチャンスをうかがうスーイン。美しさと強さを併せ持つ格好いい女性だ。

 

だが、私はあえてスーインよりも彼女の娘メイインちゃんを推したい。恐らく小学校低学年くらいの歳頃なのだが、母親譲りの賢い子で、しゃべり方がまあ~こまっしゃくれているのだ。天使のような可愛いルックスで大人顔負けのセリフを吐くメイインと、いかつくて暑苦しい(ほめている)ステイサムとのカップリングは、緊迫した状況の一服の清涼剤となっている。

 


▲研究施設の窓に迫るMEGの巨大な口。メイインちゃん、危なーい!

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

肝心のメガロドンについても、「マッドサイエンティストが極秘裏に研究を行なって現代にメガロドンを蘇らせた」といった荒唐無稽な設定ではなく、未知の海溝でメガロドンが生き続けていた……というリアリティを感じさせる設定となっている。

 

メガロドンとは約200万年前に絶滅したとされるサメで、現生のホホジロザメが全長5メートルほどであるのに対し、メガロドンは何と18メートルほどもあったという。仕事の関係でメガロドンの歯を見たことがあるが、その長さは私の手のひらほどもあり驚いたものだ。なお、劇中に登場する<MEG>は全長23メートルもあるうえに、時速約150キロで泳ぐ超弩級のモンスターである。

 

絶滅したと思われていた幻のサメが、実は我々の知らない海域で生きていた。何ともロマンあふれる話ではなかろうか。しかもそいつがステイサムと戦い、船をぶっ壊し、海水浴客でにぎわうビーチを襲撃するのだから、これぞリアリティ&ファンタジーの極みじゃないか。ああ、私も<MEG>が暴れ狂うさまを目撃したい。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

ひとつだけ心残りなのは、血しぶきチックなシーンが控えめだったこと。まあ、普段からゾンビものやスプラッタ系をよく観ているから、ついこってりを求めてしまうだけなんだけどね……。

 

そんな本作、すでに全米では大ヒットを記録しているらしい。日本でも<MEG>旋風が起きそうな予感に、今からワクワクしてならない。

 

『MEG ザ・モンスター』
2018年9月7日(金)丸の内ピカデリー、新宿ピカデリー他、全国ロードショー
配給:ワーナー・ブラザース映画
公式サイト:www.megthemonster.jp
#MEGザモンスター
上映時間:1時間53分
指定:G指定
キャスト:
ジェイソン・ステイサム、リー・ビンビン、レイン・ウィルソン、ルビー・ローズ、ウィンストン・チャオ、ペイジ・ケネディ、ジェシカ・マクナミー、オラフル・ダッリ・オラフソン、ロバート・テイラー、クリフ・カーティス、ソフィア・シューヤー・ツァイ、マシ・オカ
スタッフ:
監督:ジョン・タートルトーブ(「ナショナル・トレジャー」シリーズ)
撮影:トム・スターン(『アメリカン・スナイパー』)
美術:グラント・メイジャー(『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』
原作:スティーヴ・オルテン(「THE MEG」)
(C) 2018 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC., GRAVITY PICTURES FILM PRODUCTION COMPANY, AND APELLES ENTERTAINMENT, INC.

 

<ストーリー>
潜水艇のSOSを受けて東シナ海の海溝に潜ったレスキュー・ダイバー、ジョナス・テイラー(ジェイソン・ステイサム)は、そこで信じられないほど巨大なサメ、メガロドン通称<MEG>を目撃。しかし信じる者はひとりもおらず、彼は同僚を死なせた責任を取り、海難救助の一線から退く……。

 

5年後、大陸から200キロ離れた海洋の研究施設。探査船が未知の海溝を発見し、責任者のスーイン(リー・ビンビン)ら研究チームは歓喜に包まれる。ところが、その直後、探査船は消息を絶ってしまった。未知の海溝だけに捜索は簡単ではなく、ジョナスに白羽の矢が立てられる。一度は断った彼だったが、探査船に海洋研究者の元妻が乗り込んでいたことを知り、復帰を決意して現地へ飛ぶ。

 

そんな彼の前に、5年前に遭遇した全長23メートルの、あの巨大なサメMEGが再び姿を現わした!巨大モンスターの猛襲をかわし、ジョナスは元妻や、先に救助に向かっていたスーインを、なんとか救い出す。MEGと呼ばれる、このサメは200万年前に絶滅したはずの史上最恐、最大の古代生物。研究所のスポンサーは、この世紀の大発見を儲け話に換えようと、”海底で起こっているのは殺戮だ!”というジョナスの主張も聞かず、スーインらに捕獲を命じた。仕方なくジョナスも加わり、MEG捕獲作戦は実行に移された。やがて彼らは知ることになる、それが大きな過ちであったことを。研究施設はMEGの暴走によって無残に破壊され、海洋に投げ出された彼らの身に危険が迫る。さらに悪いことに、MEGは暖流に乗り、海水浴客で賑わうビーチに接近していた。ジョナスらは、この危機を乗り切れるのか? 人類は、果たしてこの脅威から逃げ切ることができるのか!?