魔女伝説の恐怖、ふたたび――映画「ブレア・ウィッチ」間もなく公開!

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超低予算のフェイク・ドキュメンタリー映画『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』が、当時珍しかったPOV方式(主観視点で撮影する方式)だったこともあり、日本でも大ヒットしたのが1999年のこと。
実は私も映画館へ観に行ったのだが、自分の中でハードルを上げ過ぎていたため「ほほう」という感想で終わってしまった。それもあって、17年後に製作された続編には並みならぬ興味があったのだ。
 
ご存じの方も多いと思うが、映画のタイトルとなっている『ブレア・ウィッチ』とは、ブラック・ヒルの森に棲むという伝説の魔女のことだ。
続編でもこの魔女伝説が軸となり、森に踏みこんだ若者たちを恐怖に陥れていく。かつての失踪事件から20年後の出来事ゆえ、スマホやドローンも当たり前のように登場。これらが映像のリアルさを倍増させている。
 
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本作でメリーランド州にあるブラック・ヒルの森へ足を踏み入れるのは、ジェームズら5人の若者たち。ジェームズの姉と2人の友人は、かつてこの森で消息を絶ってしまった。
動画サイトで「森に落ちていたテープの一部」だという動画を見たジェームズは、そこに姉らしき人物が映っているのを確認し、仲間と共にブラック・ヒルの森を訪れることにする。
 
動画を投稿した地元の青年レインとその恋人タリアに道案内を頼み、森を進んでいく一行。ジェームズの親友ピーターに小馬鹿にされたレインがキレたり、ピーターの恋人アシュリーがケガをしたりと、多少のトラブルはあるものの、大きな問題もなく探索は進むと思われた。
ところが、森が夜のとばりに包まれると、次第に不気味な出来事が起こり始め……。
 
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ホラー作品に限った話ではないが、怖いのは本作における魔女のような超常的な存在だけでなく、主人公らの人間関係だ。
姉の失踪の謎を知りたいと願うジェームズと映画学科のリサは、常識的で良好な関係を保てるタイプだが、それ以外のメンバーはやや難あり。
ピーターはわりと短気だし、今時女子のアシュリーは我慢に耐性がない。そして、動画を通じて知り合ったレインは魔女伝説を頑なに信じており、それをジョークにするピーターとは最初から険悪なムード。もちろんタリアはレインの味方だ。
 
彼らが不穏な存在に気づき始めると、こうした人間関係がさらに状況を悪化させる。それを主観視点で眺めていると、自分もメンバーの一人になった気分に陥り、どんどんと不安な気持ちになっていくのだ。
こういう没入感は、POV作品だからこそ味わえるのだろう。そのぶん、「ピーター、余計なこと言うんじゃないよ!」「あ~もう、レインも空気読んでカメラ回そうよ…」などと心の中でいろいろとメンバーにツッコんでしまうのだが。
 
最後に、これから本作を観ようと思っている方、そして興味がある方へいくつか補足を。
 
●『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』を観ておくと、時代の違いもありいっそう楽しめそう。
●POV方式ならではの映像の揺れがあるので、酔いやすい方はご用心。
●精神的にも生理的にもゾワゾワくる場面があるので要注意!
 
――それでは、くれぐれも気をつけてブラック・ヒルの森へお出かけください。
 
ブレア・ウィッチ
2016年12月1日(木・映画の日) TOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国ロードショー
 
監督:アダム・ウィンガード
出演:ヴァロリー・カリー/ジェームズ・アレン・マキューン/ウェス・ロビンソン
提供:博報堂DY ミュージック&ピクチャーズ/ハピネット
配給:ショウゲート
公式サイト http://www.blair-witch.jp/
 
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